18
『ザワザワ』
「ひぃ・・ か、会長ぉ早くす、す進んでくださいよ」
「玖穏。 あんた生物学上は男でしょうが!」
トップバッターである、貴乃と玖穏はソロリソロリと進んでいる。
風がどこからともなく吹き、木々がガサガサと揺れる。
ロウソクの火が、ユラユラと燃える中2人は口論をしながら歩いていた。
「にしても、少し風が強いわね・・」
「・・確かに」
入口から歩み始め、5分ほどしかたっていないはずなのに
山の中は、故意的かと思われるほどの強風が吹いていた。
そして、ついに・・
「きゃッ」 「わッ」
唯一の光であった、ロウソクの火が消えた。
あたりは、人工的な光はなく真っ暗になってしまった。
「ひぃぃいいい 真っ暗ッ」
「ちょ 玖穏おちつきなさッ・・ ってどこさわってんのぉおお!!」
おしりのあたりに、変な手触りを覚えた貴乃。
玖穏の仕業だと思い込んでいたが、とりあえず自分の武器である
チャクラムを取り出し光を灯るようにした。
「くーおーんーッ このドスケ・・ ってアレ? 玖穏どこにいったの?」
先ほどまで、確かに隣にいたはずの玖穏の姿がどこにもない。
足元を見ると、玖穏が持っていたロウソクが落ちていた。
おかしいと思い、廻りを見渡す貴乃。
額には、冷や汗がたれる。 とその時
−ガサガサ
「ッツ く、来るなら来なさい!」
木々のこすれる音がした。チャクラムを構え口からは呪文紡ぐ。
「ちょ 待て、マテ! 俺だ、玲だ落ちつけよ このまな板女」
「まな板は余計よ!」
「・・・ 貧乳はステータス。」
「貧乳って言うなッ そいでもって親指たてるな」
「ひ、貧乳とは呼ばない。真の王道は、ツルペタと呼ぶ」
「少し、ダマレ」
『ガツッ』 「痛ッ」
木々の間から出てきたのは、二番手の玲と悠詩だった。
普段と変わりないかと思いきや、悠詩のテンションが可笑しかった。
「コイツってこんなヤツだった?」
「ネジが飛んだらしい。 極度のオバケ恐怖症だ」
玲の、剣の柄の部分で頭を殴られ意識がブラックアウトしたらしい悠詩。
「なんで、アンタは剣もったまんまでてきたわけ?」
「べ、別にカンケーねぇだろ。 それよりもそっちのなよなよしいやつは?」
「は、はは〜ん。 あんたオバケ怖いんでしょ!」
先ほどまでとはうってかわって、生き生きとした表情になってきた貴乃。
玲は、図星をさされたのか押し黙ってしまった。
「まぁアンタのオバケは怖いのは置いといて、
うちのところの玖穏がいなくなったわ。ところで壱葉から本来の目的は
聞いた?」
「白帝と違って、黒帝は海響が会長だからな。七乃花以外は、全員知っている。」
「七乃花はなんで、知らないの?」
「・・・ ホラーネタが、スキすぎて暴走するから。 とか言ってたような」
現状を、打ち合わせとりあえず何をすべきかを導き出していく2人の姿は
リーダー性のある感じをだしている。
口の上では、けなし合っていても何かと気の合う二人だった。
「悠詩起きろ。 ゆーし!」
「・・な、なのか・・俺のフィギアを開けないでくれ・・ッツ」
「何を寝ぼけてるんだ」
『ガサガサッ』
「「ッツ!!」」
背後の、草木が揺れた。
瞬時に玲と貴乃は、背中を合わせあい武器を構える。
そして、でてきたモノは・・
「貴乃ちゃん達だぁ〜」
「ぁ ホントだ」
干弥と、きらねでした。
それに気づいた、玲・貴乃はガックリ肩をおろしペタンと座り込んでしまった。
「何やってるの? 二人で」
「なんでもないわ」
「なんでもねぇよ・・」
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