〜 11話 〜 「 寝起き悪し 」



  『バタン』



   ドアを勢いよく開けたと思われる音。そして



  「ぁー はぃ。 おきなさぁぁい」



   の一言。

  

  黒帝3-A組担任教師。 名前を 春日 雅。

  身長160代・体重と年齢は乙女のヒ・ミ・ツ☆

  黒ぶち眼鏡がチャームポイント。彼氏は2歳年上の御方との噂あり。

  担当科目は、数学と理科。



  黒帝3-Aすなわち、 海響・玲のクラスの担任である



  ちなみに今は生徒たちを叩き起こすという先生ならではのお仕事中。



 「みやびっちゃん おはよー」



  ニックネームはみやびっちゃん。



 「おぉー 起きたか! おはよう おはよう」



  親しみやすい、サバサバした性格は生徒達にも人気がある。



 「あと・・ 起きてないのは・・ 久遠君ねぇ・・」 





今回黒帝・白帝の生徒が宿泊しているのは山奥に建てられた

  古い旅館のようなところで、国が色々援助をしてくれている(らしい)

  築20年を過ぎた建物は、なんともいえない雰囲気をかもしだしている。



  2階建ての建物の左側の一階に黒帝男子・二階に白帝男子

  中央に管理棟をはさみ右側一回に黒帝女子・二階に白帝女子



  という振り分けになっている。

  食堂なども、中央管理棟にあるため人通りが激しい。

  生徒会の者は、管理棟から一番遠い端部屋になっていて

  棟の責任者となる システムだ。



  本来なら、時間になると管理棟から担任が端から海響が見回りをし

  効率よく朝を迎える・・・・ はずだった。



  しかし。ここで問題が起きた。 海響がこないのである。



  というか、海響だけが起きてこない。



  

  『コンコン』



  「入るわよぉー?」



   ノックを、2・3回しドアを開ける春日担任。



   端部屋は基本的に広い。

   そして窓が大きいため朝日が、かなーり差し込んでいる。



  「・・・・・。」



   ベットの上には、白いかたまりが。

   そして・・・



  「・・・ くすー・・・・・ くすー・・・」



   規則正しい寝息。



  「海響く〜〜ん〜〜?? 起きようね〜起床の時間ですよぉぉ」



   と言いつつ、ベットに近づく 春日担任。



   手を伸ばそうとした瞬間。



  『ヒュン』 「はぅわ?!?!」



   春日担任は、海響の符(ふだ)によって壁に貼り付けになっていた。



  「・・・。 困ったわ。」



   壁に貼り付けになった春日担任。

   未だにベットからは



    「・・・ くすー・・・くすー・・・」



   海響の規則正しい寝息が。



 

  *−*−*



   人ひとりいなくなった廊下をズンズン歩いて行くのは

 

  「何故・・・ ボクが久遠会長を起こしに行かないとなんだ・・?」



   不満げな悠詩君でした。



  担任が呼びに行き、早30分。一向に姿を現さない海響(と担任)にしびれを

  きらした、学年主任が悠詩を使いにだした。



  『ガチャ』



  「入りますよぉーっとぉ〜」



  「・・・ ぁあ 君は柊君では・・・?」



  「・・。 ソウデスガ・・・・」



   悠詩が見たものは、壁に貼り付けになった 春日担任。



   そして



     「・・・・くすー・・・くすー・・」



   海響の規則正しい寝息。



  

  「いやー。 助かったよ。」

 

   くぅ。 肩が痛ッ と言いながら肩を回す、春日担任。

   数十分前の出来事を、春日担任に聞いた悠詩はと言うと・・



  「というかもぅ朝食の時間が・・・ ボクの・・味噌汁。 卵焼き・・」



   見事にスルー。 朝食を食べ損ねたことを気にしていた。すると



  『バタンッ』 『ガツッ』



   勢いよく、ドアが開いた。



  「「 アオ兄が起きてこないって聞いたんですがッ」」



   走ってきたと思われる、 久遠兄弟。というか 空と藍華。



  「・・・ くすー・・・くすー・・」



   周りが、だんだん煩くなっても起きることはない海響。



  「はぁ。 来るの遅かったか・・」



   壁につきささった符を見て、呟く空。



  「・・・。 痛ッ・・・」



   頭を、不意にやってきた久遠兄弟(襲撃者)が開けた扉に激しく強打し

   抑え込んでいる悠詩に気づくものは・・ この場にいなかった。



  

  「ラン姉ぇ ハチミツ持ってきた?」



  「一応。 いつものやつより高価なやつ持ってきた。」



  

  藍華の手には、どこから持ち出したかハチミツが握られていた。



  空は、ベットに近づきフトンを上げた。

  海響の口を開けると、 藍華がハチミツを口に流し入れた。



  「・・・。 アオ兄オハヨウ。」



  「・・・・・・。 おはよぅ・・」



  眠そうな目をこすりながら、黒帝の眠り姫(王子)は目を覚ます。



  一人の犠牲を出して。



  「お前らッ 俺・・じゃなかった ボクの心配しやがれえぇえぃぃいい」





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