〜 10話 〜 「 林間学校 目的 」


 「・・・・〜あるからしてぇ、 今回の林間学校の目的は・・・」



  校長先生の、長いことで有名なありがたくない話は

  今までの記録をはるかに凌駕した40分という形で

  強制終了となった。(怒り狂った、玲の一撃が決まったとも言う)



 *−*−*



  「はぁー・・・」



  今現在、白帝・黒帝両校は題して

  「4泊5日林間学校、 絆を深め 共にゆこう」

  という名のスローガンの元、始まった。



  大きな木の下に白帝の生徒会長である腕章を左腕につけ

  寝起きのような顔をした貴乃がいた。



  「そんな風に、溜息をついちゃいけないぞ☆」



  木の後ろから聞こえたきらねの声。

  テンションが見るからに、低い貴乃に対し

  語尾に 星マークまでつくハイテンションなきらね。



  「そうだぞ☆貴乃よ! もっとテンションあげたらどうなん?」



  さらに後ろからいつもと変わらず、ハイテンションな壱葉。

  

  「お前が、 『そうだぞ☆』なんて言ったらキモイ」



  背後に、どす黒いものをしょった貴乃痛恨の一撃は、

  きまったかのよう・・・・ に見えたが

  いつのまにか、 壱葉は霞んで見える程度の位置まで

  走り去っており、きらねの姿もない。



  「・・・・・・・。」

  

  



  「って 何こんなところに立ち尽くしているんですか?

   バカも休み休みにしてもらいたいものです。」



  たまたま、通りすがった空。

  両手には、ファイリングされたプリント。

  

  「・・・。 ウルサイ。 」



  「(ムカッ) ウルサイとはなんですか?」



  長時間、車に揺られていた空は不機嫌だった。

  不機嫌MAX貴乃Vs不機嫌空



  『ゴゴゴォォォォオオオオオ』

 

  『ヒュォォォォォオオオオオ』



  と そこに、間の悪い玖穏の登場。



 「そぉーらぁークぅぅううん〜」



  ・・・ジロ・・・ ギロ・・・



  不機嫌コンビの視線は、花盛り全快な玖穏へ



 「ヒィィッ」



 「何だ? 玖穏。 今なら1文字以上2文字以内、30秒で

  要件を聞いてやる。」



  いつのまにやら、命令口調な空サン。

  背後のオーラは絶対零度のよう。



 「何? 玖穏の分際で?」



 「な・・・ ななな・・・ なん・・ なんでも・・まりましぇん」



 「貴乃・・ 空。 そろそろ機嫌を納めないか」



  玖穏が、あまりの恐さに腰を抜かしそうになると

  背後から暗黒の女王様と絶対零度の王子様に

  対抗できうる 救世主登場。



「海響・・・」 「アオ兄・・」



 「いい加減にしないとどうなるかはわかっているな・・・」



 「「・・・・。」」



  ポツリと呟いた一言で貴乃と空の顔は青ざめていく。

 

 「・・・。 貴乃会長。 ここは・・」

 

  スタスタ歩いて行く 海響の背中を見届けつつ空は貴乃

  に問いかける。

 

 「・・・。 和解よ。 今まで起きていたことなんて何もないわ」



  片手を空に向けて出した、貴乃



 「えぇ。 そうですね。 玖穏。お前も・・・ わかっているよな?」



  空も片手を出し、握手。まるで何かの契約のようである。



 「う・・ うう・・うん」

 

  どもる、玖穏。しかしいつもの二人に戻った様子に安心しているよう。

 

 



 「(それにしても・・・ わが王は キングというよりジョーカー

    並みの強さだな・・・・)」



  今までの事を、二人がいた木の上からみていた玲。

  横には器用に木の上で寝ている 藍華。





  森林の管理人の小屋でパソコンを片手に窓越しから生徒達を

  顔を扇子で隠して見ている者が一人。

  片腕には、 「理事長様☆」 の文字が入った腕章。

  



  林間学校1日目。

   本日は昼ごろに森林に到着。

   持参した昼食をそれぞれに分かれて食べ 午後に。

   午後は、特に決まったことはないため自由行動。

   



 「まぁ こんなもんでしょ。 1日目はね・・・

   林間学校をなめたらいけない。何のために4泊もするのか

   森を満喫するだけじゃぁないのだよ フフ」





  

   ついに、白帝・黒帝両校合同の林間学校が幕を開ける。

   そして謎につつまれていた「理事長」がついに姿を表す。

   意味深げな言葉の意味は?

   林間学校の真の意味を知る者はいったい誰なのか・・・



   

  〜オマケ〜



 「・・・・。 き・・きもち・・わ・・る・・」



   丸太の椅子に腰かけて、下を向き続けている悠詩。

   顔は蒼白で、あきらかに車酔いの傾向。



 「悠詩ったら・・ だらしのない・・ もぅだから酔い止め飲んどけって

   いったのに・・ バカだねぇー」



   阿保らしいと顔も言っている 七乃花。

   片手は、水の入ったコップを悠詩に差し出している。



 「今日は・・・ いけると・・思った・・ん・・だ・・」



   コップを受け取り一口飲み、二口飲む悠詩。



 「それ 毎回言ってることに早くきづきなさい・・・」





    悠詩クンは、乗物に弱いみたいですね。
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
次へ